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通院頻度と通院慰謝料2019.01.26

大阪弁護士会所属 登録番号47601
清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士
「自保ジャーナル」No. 2157号(令和6年5月9日発行)掲載 / 朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」
大阪市職員、大阪・京都の法律事務所の勤務経験を活かし、法律サービスの提供を受ける側に立った分かりやすい言葉で説明、丁寧なサポートで、年間100件以上の問題解決をおこなっています。
また損害保険会社元代理人弁護士の知識とノウハウをもって、交通事故被害者の救済に取り組んでいます。

交通事故でケガをした被害者が加害者側の保険会社に請求できるものに「通院慰謝料」というものがあります。これには、ケガをしたことによる痛みなどの肉体的苦痛のほかに、検査や治療を受けるために通院をすることによる時間や手間をとられることのわずらわしさや不利益に対するものも含まれています。
通院慰謝料は、通院期間をもとに算定されます。そのため、通院期間が長くなればなるほど通院慰謝料は高額になるのが基本です。
ですが、通院頻度が少ないと通院慰謝料の算定根拠となる通院期間を短く扱われることがあります。たとえば、同じ通院半年であれば、毎週3~4回通院した人と、毎月1回通院した人とが受けた肉体的苦痛や通院のわずらわしさなども同じと言えるかと考えるとイメージしやすいと思います。
では、どれくらいの通院頻度であれば通院慰謝料の算定根拠となる通院期間を短く扱われなくなるのでしょうか。
大阪地方裁判所の考え方は、「実際に通院した日数×3.5」が通院期間より少ない場合、「実際に通院した日数×3.5」を算定根拠とします。たとえば、通院期間が半年・実際に通院した日数が20日の場合、「20日×3.5=70日<180日」となりますので、通院慰謝料は70日分しか認めてもらえなくなるおそれがあります。
ただ、交通事故によるケガが骨折で癒合(くっつくこと)するまで安静にしていて通院しないこともありますし、上記の考え方はあくまで基本のものです。
ケガを治すための治療も、その方法によって将来受けることのできる賠償金額を変えることがあります。交通事故の後の治療計画は、治療終了後への影響を考えて立てる必要があることにご注意ください。

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