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後遺障害診断書について2024.05.18

大阪弁護士会所属 登録番号47601
清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士
「自保ジャーナル」No. 2157号(令和6年5月9日発行)掲載 / 朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」
大阪市職員、大阪・京都の法律事務所の勤務経験を活かし、法律サービスの提供を受ける側に立った分かりやすい言葉で説明、丁寧なサポートで、年間100件以上の問題解決をおこなっています。
また損害保険会社元代理人弁護士の知識とノウハウをもって、交通事故被害者の救済に取り組んでいます。

1 後遺障害診断書の重要性

症状固定を迎えると、後遺障害の等級認定を受けるため主治医に後遺障害診断書の作成を依頼します。
後遺障害等級の認定は基本的に書面審査で、その書類の中でも後遺障害診断書は最も重要です。後遺障害等級によって後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料といった賠償額の中でも大きなウェイトを占める損害項目の金額が左右されますので、後遺障害診断書は内容をしっかりとしたものにしなければなりません。

2 後遺障害書作成のポイント

後遺障害診断書は主治医が記載するもので、被害者本人が書くことはできません。ところが、医師は書類作成が業務のメインではないため、後遺障害診断書の記載内容が不十分となっているケースが散見されます。後遺障害診断書の記載内容が不十分だと、書かれていないものは後遺症がないものとして扱われるため、適正な認定を受けることができなくなってしまいます。また、必要な検査を受けていない場合も同じです。被害者が必要な記載や検査の有無をチェックしなければならないのです。

①自覚症状・他覚所見をしっかり書いてもらいましょう

自覚症状は被害者本人にしか分からないので、主治医へ正確かつ具体的に伝えてください。たとえば、どの部位(首や膝など)にどのような症状(痛みやしびれなど)があってどのようなことができないのか(階段を上られないなど)ということです。
他覚所見は自覚症状を根拠づけるものですので、必要な検査をきっちり受けて、その結果を詳しく記載してもらいましょう。画像所見がある場合はどの箇所にどのような異常が認められるか明記してもらうことが大事です。

②可動域制限は正確に計測してもらいましょう

可動域制限がある場合、可動域の角度によって後遺障害等級の判断が分かれます。そのため、可動域の計測は機器を使用して正確に行うことが重要です。医師によっては目測で記載されることもありますので、注意が必要です。

③記載漏れがないか確認しましょう

後遺障害診断書に記載のないものは後遺症がないとして扱われます。また、明らかな記載漏れがあっても、自賠責損害調査事務所はそれを指摘してくれることもないので、その不利益は被害者が受けることになります。
後遺障害診断書に記載漏れがないかチェックする必要は不可欠です。

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