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胸腹部臓器の後遺障害2024.05.18

大阪弁護士会所属 登録番号47601
清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士
「自保ジャーナル」No. 2157号(令和6年5月9日発行)掲載 / 朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」
大阪市職員、大阪・京都の法律事務所の勤務経験を活かし、法律サービスの提供を受ける側に立った分かりやすい言葉で説明、丁寧なサポートで、年間100件以上の問題解決をおこなっています。
また損害保険会社元代理人弁護士の知識とノウハウをもって、交通事故被害者の救済に取り組んでいます。

胸腹部臓器の後遺障害の種類

 胸腹部臓器の後遺障害は、臓器の種類ごとに分けると次のものがあります。

 ① 呼吸器

 ② 循環器

 ③ 腹部臓器

 ④ 泌尿器

 ⑤ 生殖器

一般的な臓器障害(生殖器以外)の後遺障害

①呼吸器の後遺障害は、動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果による判定方法、スパイロメトリーの結果および呼吸困難の程度による判定方法、運動負荷試験の結果による判定方法によって認定されます。

②循環器の後遺障害には、心機能低下、除細動器の植え込み、ペースメーカーの植え込みなどがあり、7級・9級・11級が対象となっています。

③腹部臓器の後遺障害は、食道や胃などの部位と切除や便失禁など障害の態様によって、5級から13級までの等級が対象となります。

④泌尿器の後遺障害は、じん臓の障害と尿管・膀胱・尿道の障害に分類されており、じん臓の障害は7級から13級、尿管・膀胱・尿道の障害は5級から14級相当が対象です。

一般的な臓器障害(生殖器以外)の後遺障害の等級認定

等級 後遺障害
1級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級4号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級3号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級5号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級11号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11級10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障がある もの
13級11号 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

生殖器の後遺障害

両側の卵巣を失ったものや常態として精液中に精子が存在しない・卵子が形成されないものは7級相当、一個の睾丸・卵巣を失ったものは13級相当とされます。

等級 後遺障害
7級13号 両側の睾丸を失ったもの
9級17号 生殖器に著しい障害を残すもの

胸腹部臓器の後遺障害の認定のポイント

争いとなることが比較的少ないですが、器質的障害に起因するものであることが必要とされますので、臓器の組織自体が損傷されていないが神経の損傷によって障害が発生した場合は争点となるので注意が必要です。

障害認定基準は臓器ごとに評価する構造となっていますので、各臓器の具体的な格付けを理解しておくほうがよいでしょう。

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