着手金
弁護士 古山 隼也 (こやま しゅんや)
- 清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士
- 「自保ジャーナル」No. 2157号(令和6年5月9日発行)掲載 / 朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」
コラム詳細
なぜ弁護士に依頼すると賠償額が増えるのでしょうか。治療期間は変わらないのに、弁護士に依頼する場合と依頼しない場合とでなぜ慰謝料の金額に違いが出るのでしょうか。
それは賠償金額を計算する際に使用される基準は次の3つがあり、弁護士に依頼する場合と依頼しない場合とで異なる基準が使われるからです。
保険会社は慈善事業をしているわけでもなく、被害者に支払う賠償金が少なければ少ないほどよいという立場です。そのため、被害者に賠償金を提示する際、上の3つの基準で一番高額になる裁判基準を使うことはほぼありません。「基準どおりですよ」という言葉は保険会社がよく使うフレーズですが、そもそも基準が3つあることや使っている基準が一番高いわけではないことまでは教えてくれませんので、被害者は「基準どおりなら適正な金額だろう」と思い込んでしまうのです。
弁護士は一番高額である裁判基準に従って賠償金を計算して、これに基づいて交渉します。使っている基準そのものが違うのですから、治療期間が同じでも慰謝料の金額に大きな違うが出るのも当然といえるでしょう。当事務所では、弁護士が交渉した結果、慰謝料が3倍近くに増額した解決事例もあります。
自賠責基準とは、自賠責保険金を計算する際に使用されるものです。自賠責保険は強制加入で被害者に最低限の補償をするために作られたものですので、賠償範囲は人身損害のみとなりますし、賠償金額も一番低く設定されています。
自賠責基準によって計算された金額は自賠責保険から支払われますので、自賠責基準の金額で示談した場合、保険会社は何の負担もなく終わらせる結果となります。
任意保険基準とは、保険会社が独自で設定しているものです。そのため、保険会社によって金額は違いますし、設定している金額に根拠があるわけでもありません。
通常は自賠責基準よりも高額ですが、裁判基準よりもかなり低く設定されています。それは治療期間が長くなった場合や後遺障害が残った場合に大きな差として現れます。たとえば後遺障害等級12級の場合、後遺障害慰謝料だけで裁判基準より150万円以上低くされているケースもあるのです。
裁判基準とは、裁判所が使用しているものです。ほかの2つの基準よりも高額に設定されているため、ほとんどの場合は裁判基準で計算した金額が一番高くなります。
被害者が裁判基準で賠償額を算定してほしいと言っても、保険会社はほとんど応じてくれません。弁護士でない本人が裁判を起こす可能性は低いので、保険会社としても裁判所が使う裁判基準に合わせる必要がないからです。
保険会社から賠償金を提示されたとき、示談する前にまずは弁護士へ相談して裁判基準で計算した金額を知ることが適正な賠償額を受け取るために重要です。
また損害保険会社元代理人弁護士の知識とノウハウをもって、交通事故被害者の救済に取り組んでいます。