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加害者に請求できる主な損害項目2024.05.18

大阪弁護士会所属 登録番号47601
清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士
「自保ジャーナル」No. 2157号(令和6年5月9日発行)掲載 / 朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」
大阪市職員、大阪・京都の法律事務所の勤務経験を活かし、法律サービスの提供を受ける側に立った分かりやすい言葉で説明、丁寧なサポートで、年間100件以上の問題解決をおこなっています。
また損害保険会社元代理人弁護士の知識とノウハウをもって、交通事故被害者の救済に取り組んでいます。

加害者に請求できる主な損害項目は以下のとおりです。

積極損害

・治療関係費

医療機関に支払う治療費などです。
症状固定後の治療費は原則認められません。
整骨院での施術費などは、一定の場合に認められることがあります。

・入院雑費

入院する際に生じる雑費です。
実際にかかった費用から決まるのではなく、1日当たりの金額で計算します。
任意保険基準は、裁判基準と比べ1日当たり約400円ほど低い場合が多いです。

・交通費

入退院や通院の交通費です。
電車やバスなど公共交通機関の運賃やガソリン代(自家用車の場合)が基本となりますが、タクシー代が認められることもあります。

・付添看護費

入院や通院の際にご家族などが付添看護されていた場合の費用です。
被害者の年齢などから付添看護が必要とされるときに認められます。

・将来の介護費

入浴や食事などに介護が必要となった場合の費用です。
介護業者に依頼する場合はもちろん、ご家族が介護する場合も認められることがあります。

・装具・器具購入費

車いすや義足などの購入費です。
一定期間経ってあとに交換する必要があるものは、将来の交換費用も認められます。

・家屋改造費

自宅に手すりなどを設置する、自宅での生活が困難になったため転居するなどの費用です。

・その他

事故証明書などの文書料や成年後見開始の審判手続費用など、交通事故と相当因果関係のある費用も認められます。

消極損害

・休業損害

交通事故に遭い仕事を休んだことによる減収です。
基本的には、事故前3か月の平均収入から計算します。有給休暇も休業損害として認められます。
また、専業主婦が交通事故による傷害で家事を休んだときも、損害として認められます。

・後遺傷害逸失利益

後遺障害が残ったことによる将来の減収です。
原則として後遺障害等級によって減収の割合(労働能力喪失率)が決まり、これを年収と減収が見込まれる期間(労働能力喪失期間)とで乗じた金額となります。

等級 労働能力喪失率 等級 労働能力喪失率
第1級 100% 第8級 45%
第2級 100% 第9級 35%
第3級 100% 第10級 27%
第4級 92% 第11級 20%
第5級 79% 第12級 14%
第6級 67% 第13級 9%
第7級 56% 第14級 5%

慰謝料

・入通院慰謝料

傷害自体や入通院の精神的苦痛に対する慰謝料です。
入通院期間の長さから計算しますが、実際に通院した日数が通院期間と比べて少ない場合は、通常よりも低額となる可能性があります。
また、傷害の重さなどによって金額は変わります。

・後遺障害慰謝料

後遺障害が残ったことへの精神的苦痛に対する慰謝料です。
原則として後遺障害等級によって慰謝料の金額は決まっていますが、任意保険基準のほとんどは裁判基準と比べてかなり低く設定されています。

等級 自賠責基準 任意基準(推定) 裁判基準
第1級 1100万円 1600万円 2800万円
第2級 958万円 1300万円 2370万円
第3級 829万円 1100万円 1990万円
第4級 712万円 900万円 1670万円
第5級 599万円 750万円 1400万円
第6級 498万円 600万円 1180万円
第7級 409万円 500万円 1000万円
第8級 324万円 400万円 830万円
第9級 245万円 300万円 690万円
第10級 187万円 200万円 550万円
第11級 135万円 150万円 420万円
第12級 93万円 100万円 290万円
第13級 57万円 60万円 180万円
第14級 32万円 40万円 110万円

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